帝王学 「貞観政要」の読み方 山本七平
「帝王学」という言葉は昔からよく聞く。
だが、「帝王学」とはどういうものなのかは正直よく知らなかった。
帝王学を学ぶために読む書のはじめとしてオススメできるのがこの本。
この本では帝王学の古典として、中国は唐の時代の名君大宗と家臣たちの
やりとりをまとめて本「貞観政要(じょうがんせいよう)」を著者が解説している。
日本では、北条政子と徳川家康がこの本に最も影響を受けた日本人だろうと分析している。
貞観政要を代表する大宗と家臣との問答、
「草創と守文といずれが難き」(「創業」と「維持」はどちらが難しいか)
が貞観政要を物語っていると思うのだが、
唐の基盤を築いた大宗は創業と共に守文もうまくやった。(ただし、後継者問題は苦労した)
この守文をどのように行っていくのか、その心構えをまとめたものが貞観政要なのだろう。
だから、
頼朝死後の陰の実力者北条政子と、信長・秀吉の時代を生き抜き天下を統一した
徳川家康は守文の難しさを思い、この貞観政要に答えを求めたのだろう。
最後の解説に守屋洋さんが解説を書き、貞観政要の要点を5つでまとめているので
簡単に書き記しておく。
1:「安きに居りて危うきを思う」
安泰なときや好調なときほど、将来の危機に思いを致して、いっそう気持ちを
引き締めること
2:「率先垂範、我が身を正す」
トップが十分な説得力を発揮するためには、まず、みずからの身を正さなければならない
3:「臣下の諫言に耳を傾ける」
貞観政要はまさにこのやりとりをまとめたものと言っていい。大宗も生まれながらの名君だった
わけではない。臣下の諫言を積極的に受入れ、彼らの批判に耐えることによって、みずからを
大きく、たくましい人間に鍛え上げていった。
4:「自己コントロールに徹する」
トップには権力が集中する。しかし、その権力を自分勝手に行使したのでは、たちまち
トップ失格となるらしい。大宗はそういう点でも自戒を怠らなかった。
5:「態度は謙虚、発言は慎重に」
大宗は皇帝の位について間もなく、こう語っている。
「天子たる者、謙虚さを忘れて不遜な態度をとれば、かりに正道を踏み外したとき、
その非を指摘してくれる者など一人もおるまい。和足は一言述べようとするたびに、
また、何ぞ行動を起こそうとするたびに、必ず天の意思にかなっているだろうか、
そしてまた臣下の意向にかなっているだろうかと自戒して、慎重を期している。
なぜなら、天はあのように高くはあるが下々のことに通じているし、臣下の者はまた
絶えず君主の一挙一動に注目しているからである。
だから、つとめて謙虚に振る舞いながら、私の語ること行うことが、天の意思と
人民の意向に合致しているかどうか、反省を怠らないのである。」
帝王学というと仰々しいが、現代を生きる私たちも何かしらの点では権力者となるうる。
子育てをしている母親も然り、教員も然り、企業経営者も然り、権力者が気をつけなければ
ならないこととして読むと、私たちも気をつけなければならないことだと身を引き締められる
思いがする。
帝王学―「貞観政要」の読み方
だが、「帝王学」とはどういうものなのかは正直よく知らなかった。
帝王学を学ぶために読む書のはじめとしてオススメできるのがこの本。
この本では帝王学の古典として、中国は唐の時代の名君大宗と家臣たちの
やりとりをまとめて本「貞観政要(じょうがんせいよう)」を著者が解説している。
日本では、北条政子と徳川家康がこの本に最も影響を受けた日本人だろうと分析している。
貞観政要を代表する大宗と家臣との問答、
「草創と守文といずれが難き」(「創業」と「維持」はどちらが難しいか)
が貞観政要を物語っていると思うのだが、
唐の基盤を築いた大宗は創業と共に守文もうまくやった。(ただし、後継者問題は苦労した)
この守文をどのように行っていくのか、その心構えをまとめたものが貞観政要なのだろう。
だから、
頼朝死後の陰の実力者北条政子と、信長・秀吉の時代を生き抜き天下を統一した
徳川家康は守文の難しさを思い、この貞観政要に答えを求めたのだろう。
最後の解説に守屋洋さんが解説を書き、貞観政要の要点を5つでまとめているので
簡単に書き記しておく。
1:「安きに居りて危うきを思う」
安泰なときや好調なときほど、将来の危機に思いを致して、いっそう気持ちを
引き締めること
2:「率先垂範、我が身を正す」
トップが十分な説得力を発揮するためには、まず、みずからの身を正さなければならない
3:「臣下の諫言に耳を傾ける」
貞観政要はまさにこのやりとりをまとめたものと言っていい。大宗も生まれながらの名君だった
わけではない。臣下の諫言を積極的に受入れ、彼らの批判に耐えることによって、みずからを
大きく、たくましい人間に鍛え上げていった。
4:「自己コントロールに徹する」
トップには権力が集中する。しかし、その権力を自分勝手に行使したのでは、たちまち
トップ失格となるらしい。大宗はそういう点でも自戒を怠らなかった。
5:「態度は謙虚、発言は慎重に」
大宗は皇帝の位について間もなく、こう語っている。
「天子たる者、謙虚さを忘れて不遜な態度をとれば、かりに正道を踏み外したとき、
その非を指摘してくれる者など一人もおるまい。和足は一言述べようとするたびに、
また、何ぞ行動を起こそうとするたびに、必ず天の意思にかなっているだろうか、
そしてまた臣下の意向にかなっているだろうかと自戒して、慎重を期している。
なぜなら、天はあのように高くはあるが下々のことに通じているし、臣下の者はまた
絶えず君主の一挙一動に注目しているからである。
だから、つとめて謙虚に振る舞いながら、私の語ること行うことが、天の意思と
人民の意向に合致しているかどうか、反省を怠らないのである。」
帝王学というと仰々しいが、現代を生きる私たちも何かしらの点では権力者となるうる。
子育てをしている母親も然り、教員も然り、企業経営者も然り、権力者が気をつけなければ
ならないこととして読むと、私たちも気をつけなければならないことだと身を引き締められる
思いがする。
